1からわかるホームシアターづくり <2011年改訂版>
− 第4回:ホームシアターができるまでの工程を追う−
第1回ではコンセプトの固め方を、第2回ではレイアウトのコツを、そして第3回では、最低限必要な機器についてお伝えした。ここではこれまでのおさらいをしながら、実際にホームシアターができるまでの工程を追ってみよう。
=ホームシアターができるまで=
1.ホームシアターショップでブリーフィングを行う
シアターを作りたい部屋の図面をもとに、インストーラーと話し合いを行う。ここで、第1回目でおさらいした「5W2H」をもとに、ユーザーがホームシアターで何をしたいのか、どういうシアターを作りたいのかといったコンセプトを明確にする。
2.必要な機器や照明などを割り出す
必要最低限な機器については第3回で触れたとおりだ。しかし具体的な機種選択の段になると「機械には詳しくないし、どんなものを選んだらいいか分からない…」とお悩みの方もいることだろうが、心配は無用。「知識のない人にどういう機器をすすめるかがインストーラーの一番の腕のみせどころ」と、トムテックの浅田氏は言う。
インストーラーは、ユーザーのメーカーの好み、今まで使ってきたメーカーの遍歴はもちろん、ユーザーのひととなりや、趣味志向を汲み取って具体的な機種を選択してくれるのだ。
「ホームシアターはお金を掛けだせばきりがないものですが、ただやみくもに高いものを選べばいいわけではありません。予算やニーズに応じ、その条件の中でベストな機器を選ぶことが大事だと考えています。そのような提案ができるよう、責任と誠意を持って対応します」と浅田氏は語る。
機器を選択したら、それを収納したり設置したりするための家具を決めたり、ルートロンなどを使用した照明計画をたてたりする。
3.インストレーション図面を製作する
ブリーフィングと機器選択ののち、固まったコンセプトと部屋の図面をもとに、インストーラーがシアターの初期図面を1週間から10日ほどで制作してくれる。制作費用はトムテックでは7万円だ。ただしこれは機材の配置のみを行う場合の費用で、照明の配置や作り付け家具の製作などを含める場合は更に別途費用がかかることになる。
初期図面に諸々の要素を加え、施工のための最終的なシアター図面がこのようにできあがる。
このなかにはインストーラーのノウハウと、ひとりひとりのユーザーと向き合った過程が凝縮されているのだ。
4.見積もりを出す
個々の機器の価格に加え、図面製作費用、機器の取り付け工事費などを含めて、シアターの施工見積もりが出される。
5.施工
いよいよ図面をもとに施工に取りかかる。上で挙げた図面を見ると、ケーブル配管のための方法やコンセントの種類、それを設置する高さに至るまで、細かく指示が書き込まれているのがお分かりだろうか。
ハウスメーカーやリフォーム業者は、ホームシアター施工の専門家ではない場合が多い。そこで「ホームシアターのエキスパート」たるインストーラーが、スクリーンの隠し方、配管の太さやプレートの処理などの指示書をつくり、工事に携わる人たちに提出するのだ。
施行中はインストーラーが現場に赴き、現場の人たちと施工に関する細かい擦り合わせを行ったり、きちんとした工事が行われているかを専門家としてチェックしたりする。
6.完成した部屋に機器を取り付ける
できあがった部屋への機器取り付けや、配線をする作業を行う。システム全体の状況にもよるが、この費用は、トムテックではだいたい10万円から請け負ってくれる。
7.シアター完成
ついにホームシアターが完成。こだわりの詰まったホームシアターで映画や音楽を楽しむ、めくるめく日々が始まるのだ。
さて次回は、完成したホームシアターの今後の拡張性についてみていこう。